雨が見ていた~Painful love~
もう12月。
オフィスの中は暖房のおかげで温かいけれど、オフィスの外に出ると冷たい風がビュウビュウと私の頬に突き刺さる。
最近、気温がグッと低くなって、刺すような冷気をまとった風が体中に襲いかかってくるような気がする。
東京は雪は降らないけれど、乾燥してるから体感温度はとっても低く感じるし、風がとても冷たい。
「…はぁ…、寒い。」
ダッフルコートじゃなくて、そろそろダウンコートに乗り換えないとダメかなぁ…。
そう思っていた時、バックの中の携帯が軽やかに鳴り始め、メールの着信を私に告げる。
かじかむ指をゴソッと中に入れて携帯を取り出すと
『桐谷さん、今日ヒマ??
よかったらメシ、食いに行きませんか?
日野拓真』
――拓真くん…。
寒い体をホッコリと温めるような
優しい拓真くんのメールが目に入る。
拓真くんは無理強いすることは決してしない。告白の返事もせずにのらりくらりとしている私をもどかしく思っているだろうに
『言っただろ?俺、気は長い方だ、って。アンタがその気になるまで待ってるから気にすんな。』
私に柔らかな愛を与えてくれる。