雨が見ていた~Painful love~
(まぁ…あのキョウちゃんが、この大学のエースだなんて未だに信じられないけどね…。)
校舎を抜けて奥まったところに、帝体大のプールはある。
ジャージ天国のこの場所でオフィス仕様の服装をしている私が珍しいんだろう。
行きかう人、行きかう人、みーんなジロジロと私を見つめる。
そんな視線を気にも止めずに
ただひたすらに前をあるいて
お目当ての屋内プールに足を踏み入れ、キョウちゃんの姿を探す。
「すみません。
藤堂選手はどちらにいらっしゃいますか?」
廊下を歩いていた、ジャージ姿の女子学生を捕まえて尋ねると
「藤堂先輩なら水の中ですよ?」
「……え??」
「今、200のタイム計ってます。」
女子学生はケラケラ笑いながらプールを指差す。
――ええ~っ!?
人を呼びつけといて、呑気に泳いでるワケ?!
俺様なキョウちゃんの行動にイライラしながら
「ありがとうございました。」
私はペコリとお辞儀をして、足早にその場を後にする。