雨が見ていた~Painful love~
言葉もなくただひたすらにカレを見つめる私を不思議に思ったのか
「美織??」
綾音は私の顔を覗き込む。
――あ、いけない!!
カノジョの顔を見て正気に戻った私は慌てて
「は、はじめまして!
桐谷美織です!!」
ぺコンと深々、お辞儀する。
知り合い……とは言え、カレは綾音のカレシなんだもん。他人行儀だけど…こういうしかないよね??
カレとは全然“はじめまして”じゃないくせに、白々しく演技をすると
「はじめまして、桐谷さん。」
カレは私を馬鹿にしたようにフフンと笑うと、スッと右手を私に差し出す。
――え…??
カレの行動の意味がよくわからなくてポカンとしていると
「ちょっと美織!
せっかく響弥くんが握手を求めてんだから、さっさと握手しなさいよ~!」
プリプリ怒りながら、綾音が私を急かす。