雨が見ていた~Painful love~
「強い奴ですねぇ。
バカだしワガママだし疲れる時もあるけれど、アイツのそういうスタイルは嫌いじゃない。」
――勝つべきは自分
そのキョウちゃんの言葉を噛みしめながら、私は遠くで笑う彼を見つめる。
「アイツが闘っているのはいつも自分。
ライバルである吉良でもなく世界記録でもなく、いつも昨日の自分と闘ってるそうです。面倒くさいところもあるが…アイツはああいうヤツだから後輩からも先輩からも好かれるんでしょうな。」
私生活では俺様で
レイプ魔で
唯我独尊なキョウちゃん。
そんなキョウちゃんを仁くんは“弱虫だ”と言った。
キョウちゃんを許す気はない。
昔に戻ることは不可能だし、彼に感じる恐怖を拭える自信はどこにもない。
だけど…
アスリートとしての藤堂響弥は尊敬できるかもしれない。
自分に厳しく
自分と闘う
ストイックなアスリート
幼なじみとしてのキョウちゃんは怖くて嫌いだけど、アスリートとしての藤堂響弥と別物だと考えれば…付き合っていくことは可能かもしれない。
それでも努力は必要だけど…。まずはなんとかキョウちゃんと上手くやっていける道を探さなきゃいけないよね。
だって…私はキョウちゃんをプロモートしていく立場なんだもん。
そう思っていた時
♪Piroro Piroro♪
バックの中で携帯が鳴った。