雨が見ていた~Painful love~


腕に感じる強い圧力と
カラダに感じる、威圧感



あの雨の日と同じような、暗い瞳に身震いのする私。





――な、なに…!?





するどい視線に恐怖を感じながら
怯えた瞳で彼を見上げると



「友達って…オトコか。」



「え…??」



「答えろ。
オマエの言う“友達”ってヤツは男なのか?」



睨むような
殺意を持っているような
暗くて鋭い視線を向けながら、キョウちゃんは私を見据える。





逃げられない

怖くてたまらない、この瞳




あの日を思い出して
今にも泣きだしてしまいそうになる、キョウちゃんのこの瞳。






この空気感と
この視線に耐えきれずに
指先がガタガタと小刻みに震える。



「…あ…、あ…っ…。」



あの日をフラッシュバックしそうになって、恐怖で身を縮こませていると、キョウちゃんは私のバッグに強引に手を伸ばして、携帯電話を勝手に取り出す。



そして送信途中だったメールの画面を見た瞬間、顔つきがガラリと変わって。






鬼のような形相をしたまま強い力で私の体を無理やり抱き上げると



「きょ、響弥さん!?」


「やめろ!藤堂!!!!」


「キャーーーーーーッ!!!!」



キョウちゃんは私を無理やりプールの水の中に投げ捨てた。







ふわりと浮いた体に
バシャンと耳に響く、水の音



体中に感じる生ぬるい水に
どんどん重くなるカラダ。



もがけばもがくほど重くなる服に
パニックになる頭の中





何??
何!?


いったい私の身に何が起こっているの!?





私はワケがわからなかった。




< 209 / 545 >

この作品をシェア

pagetop