雨が見ていた~Painful love~
苦しい!!
苦しいよ…!!!
誰かが当ててくれた紙袋の中で私は荒い呼吸を繰り返す。
「はぁっ、はぁっ…!!」
「ゆっくり息をして!桐谷さん!!」
落ち着いた郷田先生の声
そして遠くからは女の子たちの裂くような悲鳴が聞こえる。
視界の奥には…
身をひるがえしてその場からいなくなる、キョウちゃんの姿が見えた。
心配そうな顔も
申し訳なさそうな顔も
何一つせず、その場からいなくなるキョウちゃん。
――ひどい人…!!
その姿を見て
私はもっと苦しくなった。
嫌い…
嫌い…
大っ嫌い…!!!!!
そう思うと胸の奥がもっともっと苦しくなる。
「桐谷さん!呼吸だけに集中して!!」
「ゆっくり吸って…、吐いて…!!!」
先生の言葉はもう耳に入らない。
感じるのは胸の痛みと苦しさだけだ。
絶望に身を落としながら
苦しくて涙を流しながら
それでも…
ただ茶色い紙袋の中で呼吸をしていると、だんだん呼吸が楽になってきて。
しばらくすると、呼吸は普通に行えるようになってきた。
「…もう…大丈夫でしょう…。」
そう先生が言った後。安心した私はそのまま意識を失ってしまったのだった――……。