雨が見ていた~Painful love~
怒ってるんだけど、呆れているような、柔らかい拓真くんの表情
デコピンされた事実に驚きながら、おでこに手を当てたまんま、彼の顔をじっとみていると
「……アンタ、ドジだから。
どうせ足滑らせてプールに落ちたんだろ。」
「え、えぇっ!?」
そう言って
拓真くんはクスクス笑う。
――ひ、ひどーい!!
私、自他共に認めるドジだけど、そこまでドジじゃないよ!?
「バカにして~っ!
もう!そこまで私ドジじゃないよ!?」
そう反論すると
「じゃぁ…、なんで落ちたの。」
拓真くんは真剣な目をして、私に問いかける。
「…え…??」
驚いて彼の瞳を見つめると
「普通は落ちないよ、プールになんて。
しかも、プールに落ちたぐらいじゃ過呼吸なんて起こさない。」
彼はまっすぐに私を見据えたまま、そんな言葉を紡ぐ。
「どうして落ちた?
なんで過呼吸を起こした??」
まっすぐに
真っ白に透明感のある瞳を向けて、コトの核心に迫る、拓真くん。
そんな彼の瞳に耐えられなくて
「な、何もないよ。
ただ私がドジだったから足を滑らせちゃっただけ。」
そう言って彼からフッと顔を背ける。