雨が見ていた~Painful love~
さっき言ってたこととは全く違う、私の意見。
その食い違いを拓真くんは見逃してくれるはずもなく
「ウソだ。」
「え?」
「さっきアンタは“そこまでドジじゃない”って言ったんだ。
正直に言ってくれ。
アンタ…誰かに突き落とされたんじゃないのか??」
拓真くんはますます事件の核心に迫ってくる。
――どうしよう……。
このままだと拓真くんは事件の真相をつかんでしまう。
そうなったら…彼はキョウちゃんのコトをどう思うだろう。
キョウちゃんのコトは許せない。
彼は恐怖の対象でしかないし、悪魔だと思ってる。
だけど……
あの雨の日までは、彼は私の大切な弟で友達で家族で、大切な大切な幼なじみだったはずなんだ。
私とキョウちゃんの間にあったことと、拓真くんは関係ない。
知られてはいけない、拓真くんには
キョウちゃんとの間にあったことを気取られてはいけない。
そう思って
「さ、さっきは自分のドジを認めたくなかったの。」
「……。」
「拓真くんに図星を突かれて…いたたまれなくなっただけ。」
そう、言葉をはぐらかす。