雨が見ていた~Painful love~


そしてその凍りついた雰囲気の中、視線をそらして、ただ黙りこむ私を見て


「…相変わらず…
肝心なことは何にも俺にしゃべってくれないんだな。」



拓真くんは怒ったように、こう呟く。





――え……??





「言っただろ?
俺はアンタと乗り越えたいって。
悩みも苦しみも全部乗り越えていきたいって。」



「…拓真くん……。」



「俺はアンタを受け止める準備はできてる。
だけどアンタはいつまでたっても重い荷物を放してくれない。」





そう言って
拓真くんは私の頭をペチンと叩く。





――い、いたい!




突然繰り出された平手打ちに驚いて、そっぽを向いていた体を元に戻すと




「桐谷さん。」


「…??」


「重い荷物から解放されたいなら、話さなきゃダメだ。」




正面に私を見据えながら
まっすぐな視線で拓真くんは、こう私に語りかける。





――重い荷物を話す?





放すと話す






同じ言葉だけれど意味の違う二つの言葉を突きつけられて、私の頭の中には思わずハテナが舞い踊る。





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