雨が見ていた~Painful love~
「キョウちゃん聞いてっ!
私……、ついに拓真くんとキスしちゃった!!」
おうちに帰ってきて
部屋に入った途端に携帯を取り出して
キョウちゃんに電話で報告すると
『へーぇ。くそ美もエロ美になりやがったなー。やるじゃん。』
とか、悪態ついてくるかと思ったのに
「……あっそ。
俺、今忙しいから電話切るぞ。」
……ピッ。
聞こえてきたのは、こんな気のない、そっけない返事と無機質な機械音。
――なんで??
そっけないキョウちゃんの態度に少し傷ついて、なんだかその日から彼との関係が無意識のうちにギクシャクしてきていると感じていた頃。
「来週の土曜日……さ?
うちに遊びに来ないか?」
拓真くんは私にこんな嬉しい提案を持ちかけてくれた。
「え、お邪魔してもいいの??お家の方のご迷惑にならない??」
そう尋ねると
「あー、うん。
その日は家族は旅行でいないから。」
拓真くんは言葉少なに、そう呟く。