雨が見ていた~Painful love~
「うん……
じゃあお言葉に甘えて、そうする。」
「……ん。」
拓真くんの助け船どおり
よく考えてから返事をしよう、と私は決めて
それでも不安な私は更なる助けを求めて、ある場所へ向かっていた。
向かうのは……
代官山にある、キョウちゃんの自宅。
私の自宅のある中目黒から、目と鼻の先にある彼の自宅。
「今の時間なら……
自転車で平気かな。」
私は中目黒の駅を降りると、駅の駐輪場に止めてあった自転車にまたがってキョウちゃんのお家を目指す。
いつもなら、電車で15分程の距離
少し坂道の多い街並みをシャコシャコと自転車で進んでいると
「……えっ?!」
突然辺りが暗くなり始めて、雨がザンザンスゴい勢いで降り始めてきてしまった。
「う、ウギャ!
冷たいっ!!!」
制服が雨を吸ってドンドン重くなっていく
髪なんてベチョベチョで和風のおばけみたいに顔に張り付いてるし、靴もグチュグチュ。
「冷たいよー。
重いよー。」
弱音を吐きながら
泣きそうになりながら
冷たい雨に打たれながら
自転車を漕いで
目黒区と渋谷区の皆様に
奇妙な目で見られながら
それでも負けずに
しゃかりきに自転車をこいでいくと……
「つ、ついた……。」
私はやっとのことで
キョウちゃんの家族の住む高級マンションにたどり着いた。