雨が見ていた~Painful love~
『アリストコート・Ⅱ』
と書かれたマンションの玄関をくぐって、私はオートロックのキーボタンの前に着く。
701
キョウちゃんの自宅の部屋番号を押して、ピンポンを鳴らすと、しばらくして
「ぎゃっ!!
み、美織……??」
「きょ、キョウちゃん~!!」
インターホンの向こうからは、心底怯えたキョウちゃんの声が聞こえたきた。
「おまっ…
なんだよ、その格好!!
沼地から現れた自縛霊みたいになってんぞ!!」
「きゅ、急に雨が降ってきて~!!
急いだんだけど、ずぶぬれに……っ!!」
インターホンのテレビカメラに写った私を見て、キョウちゃんは気味悪そうにそう呟く。
「お願い、入れて!!」
髪からも、制服の裾からも、ぽたぽたと雨水が落ちてくる。
――このままだと風邪ひいちゃうよう~~!!
そんな私の必死の私の訴えは
「……アホか。
そんなずぶぬれオンナ、家に入れたら家ン中が汚れるだろーが。」
「え、えぇ!?」
「絶対バカ美は家に入れねー!!
わかったらとっとと帰れ!!」
俺様ワガママ男のせいで、一瞬にしてぶった切られる。