雨が見ていた~Painful love~


『アリストコート・Ⅱ』


と書かれたマンションの玄関をくぐって、私はオートロックのキーボタンの前に着く。



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キョウちゃんの自宅の部屋番号を押して、ピンポンを鳴らすと、しばらくして


「ぎゃっ!!
み、美織……??」


「きょ、キョウちゃん~!!」


インターホンの向こうからは、心底怯えたキョウちゃんの声が聞こえたきた。



「おまっ…
なんだよ、その格好!!
沼地から現れた自縛霊みたいになってんぞ!!」



「きゅ、急に雨が降ってきて~!!
急いだんだけど、ずぶぬれに……っ!!」




インターホンのテレビカメラに写った私を見て、キョウちゃんは気味悪そうにそう呟く。



「お願い、入れて!!」



髪からも、制服の裾からも、ぽたぽたと雨水が落ちてくる。




――このままだと風邪ひいちゃうよう~~!!



そんな私の必死の私の訴えは



「……アホか。
そんなずぶぬれオンナ、家に入れたら家ン中が汚れるだろーが。」


「え、えぇ!?」


「絶対バカ美は家に入れねー!!
わかったらとっとと帰れ!!」



俺様ワガママ男のせいで、一瞬にしてぶった切られる。


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