雨が見ていた~Painful love~


突然出てきた“藤堂”の言葉にビクッとしながらも


「うん…。日本選手権で予選敗退しちゃうかもって…。」


ため息交じりにそうつぶやくと



「えぇ!?それってマズくないか??」



喜多川君は驚いた顔をして、私に突っ込んでくる。





「うん…。世界選手権、出られないかもしれないもんね…。」





そう答えると


「違う違う!心配なのはそこじゃないだろ!」


「…え??」


「関係オオアリなのはMETSERAだよ!
予選敗退なんて情けない記録叩き出して、そのまま雇ってくれると思うか??あっちが欲しいのは今すぐ使える広告塔だろ?変な話…キラが優勝して藤堂が予選敗退だなんてことになったら…、藤堂の足キリだってやりかねないぜ??」



――そんな…!!



そうか、そこまで考えが行き着かなかった!!




さらに固まり始める私を見て、喜多川君はハァと大きくため息を吐く。






「…にしても、藤堂が絶不調でキラは絶好調って辺りが…におうなぁ…。」






キラが絶好調??



その言葉にどこかピンときた私が


「吉良光太郎、絶好調なの??」


と尋ねると、喜多川君はコクンと頷いて


「世界記録に0.5秒下回るタイムが自己ベストだってさ。」


そんな言葉を口にした。




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