雨が見ていた~Painful love~


世界記録を下回ってるのか…。


「藤堂さんはタイ記録だったよ?」


喜多川君にそう返すと


「え!?そうなの!?」


目を真ん丸にしたまま驚いてその後“うーーん”と頭を抱えて悩みだした。



「じゃぁなんであんなこと言ったんだろう…。」



――あんなこと!?



その言葉に何か感じるものがあった私が



「ど、どういうこと!?」



前のめりになって食いつくと




「い、いや…こないだキラと打ち合わせした時にアイツこう言ったんだよ。“次に勝つのは絶対に俺だから安心してね、喜多川っち~。あんな状態じゃ試合どころじゃないだろうから。”って。」




私の勢いに驚いた喜多川君がしどろもどろになって、そう答える。






――あんな状態じゃ試合どころじゃない…??


ってことはキラはキョウちゃんの不調を知ってるっていうの?





私だって、キョウちゃんがそんな状態ってことは今日知ったばかりなんだよ?それに……郷田先生だって不調の原因がわからないと言って悩んでらっしゃった。



“あんな状態”



キラはキョウちゃんの不調を知っている。もしかしたらあの子……キョウちゃんの不調の原因を知ってる……???



――もしかして……!!





なんだかイヤな予感に苛まれた私は、がたんと席を立つ。




「き、桐谷!?どうしたんだよ!」


「直接、聞きにいってくる!」


「は…?直接!?」


「そう。吉良光太郎に会いに行ってくる!!あの子…必ず何かを知ってるハズだもの!!」



バックを取って、コートを羽織ると


「SGに行ってくる。
またあとで連絡するわ。」


それだけを言い残してオフィスを飛び出した。




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