雨が見ていた~Painful love~


冷たい冷たい1月の冷気が私の頬に突き刺さる。


かじかむ指先に芯から冷える足先


都会特有の乾いた北風を受けながら、私はSGスイミングスクールへ急いでいた。





吉良光太郎にアポは取っていない。
行ったところで会えるのかどうかも、そこにいるのかどうかもわからない。



だけど、そんなことはどうでもよかった。


ただ、確かめたかったんだ。
アイツがキョウちゃんに何をしたのかを。





通いなれた道を歩いて、大通りに面したSGを目指す。


大きなスポーツバックを持った男の子に女の子
あの頃も今も変わらない、道のりを歩いていくと、目の前に大きなスイミングスクールが顔を出す。


ハァと大きく深呼吸をして玄関をくぐると



「あれ??桐谷さん?」


「…拓真くん!!」



ジャージ姿の拓真くんと出くわした。





――今日、お仕事だったのかな…





そんなことを思いながら彼に走りよると


「どうしたの?仕事??」


相変わらず無表情のまんま
拓真くんは私に優しく尋ねてくれる。




「うん、ちょっと…吉良光太郎に用があってね。」




そう返すと、


「ふーん。キラなら今プールにいるよ。
呼んでこようか??」


「…あ、だいじょうぶ。
私が行くから平気。」


「…ん。じゃぁ、気をつけて。」


拓真くんは私の頭をポンポンして、テクテクとどこかに行ってしまった。


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