雨が見ていた~Painful love~


ただポンポンされただけなのに、広がっていく温かさ。


私は拓真くんにポンポンしてもらった頭を軽く押さえながら『拓真くんは人間カイロみたいだなぁ』とわけのわからないことを思い始める。



触れたところから優しさが滲み出して、傷ついた心が熱を持って癒されていくような拓真くんの温かさ。




まるで真冬のポケットの中にあるカイロのように、冷めた心を温めてくれる拓真くんのさりげない優しさ。彼にすがれたら楽なのに…どうして私は両手を上げて彼に飛び込めないんだろう。




どうして、躊躇してしまうんだろう。





あんなに優しくて魅力的な彼に自分が釣り合ってない…と、思っているから?


レイプなんてされてる自分は汚いと、拓真くんにはふさわしくないと思っているから??






私はあの日からずっと考えていた。






キョウちゃんにプールに投げ込まれたことを彼に伝えられなかったあの日から、私はどうして彼にすべてをさらけだせないのか、ずっとずっと考えていたんだ――……。





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