雨が見ていた~Painful love~
この不調は
キョウちゃんが自分で乗り越えるしかない問題なんだ…。
冷たいようだけれど
突き詰めていくと、そういうコト…だよね??
それを思うと…自分がバカみたいに思えてきた。
――帰ろう…。
私は荷物を持ち直して、クルリと踵を返す。
キョウちゃんと吉良光太郎の勝負は二人だけのモノ。ここで横やりをいれたら…きっとキョウちゃんは私を許さない。
『余計なことするんじゃねぇ!
俺は誰かに助けてもらわなきゃ立ち上がれないような、ヤワな男じゃねーんだよ!!このクソオンナ!!』
そう言うに違いない。
それなら……
ここであの子を問い詰めるんじゃなくて、私はキョウちゃんを信じてみよう。
藤堂響弥というアスリートを信じてみよう。
あの俺様・ワガママ・自己中男ならこんな不調吹き飛ばしてくれるはずだと、強く強く、信じてやるわよ!!
そんな決意を胸にした私が室内プールの扉を開けて、出ていこうとしたとき
「あれぇ~?帰っちゃうの?おねーさん。」
200Mを泳ぎきった吉良光太郎はプールサイドに両腕をつけてプカプカ浮いたまんま、相変わらずのお気楽声で私に問いかける。