雨が見ていた~Painful love~
勝負の世界に言い訳は通用しない。
勝負の世界は結果が全て。
ここで吉良光太郎を罵倒したところで、結果が変わるわけじゃない。
キョウちゃんを信じていないワケじゃないけど…ここで大きなことを言って何かあったら恥をかくのは私じゃない。キョウちゃん本人だ。
私は怒りをグッとおなかの中に必死で沈めて出口の扉に手をかけると
「わかりました。伝えておきます。
じゃぁ…練習頑張ってくださいね。吉良さん。」
振り向きざまにニーッコリ微笑んで、私は吉良光太郎に言い放ってやった。
バシンと勢いよく扉を閉めてツカツカとヒールを鳴らしながら廊下を歩く私。
――悔しい!悔しい!!
キョウちゃんが絶好調になったら、負けるのはアンタなんだからぁっ!!偉そうにしてられるのも今のうちなんだからねっ!!
キョウちゃん!!
あんな奴にぜーったいに負けないでよ!!
うがー!!と心の中で吠えながら、廊下を歩いている頃
「ふーん。案外気が強いのな、あのオンナ。だけど…自分が藤堂の不調の原因なんだって知ったら……あのキレーな顔がグッシャグシャに歪むんだろうなぁ~~……。
フフフフ。
あははは!!!
超~~~楽しみ。」
吉良光太郎はプールの中で悪魔な笑いを振りまいていたのだった――……。