雨が見ていた~Painful love~
・save~正しいキミの守り方~
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SGスイミングスクールから飛び出して数十分後、私は電車に飛び乗ってある場所を目指していた。
その場所は…帝都体育大学
言わずと知れたキョウちゃんのホームプールだ。
私なんかが行ったところで、彼の何かが変わるわけじゃない。そんなことはわかっているけれど……このままオフィスに直帰する気にはどうしてもなれなかった。
喜多川君に
『ごめんね。
今から帝体大に行ってきます。
もし何かあったら、携帯に電話ください』
とだけメールを打って、私は電車の中で流れゆく景色をずっとずっと眺めていた。
ムカつくけれど
腹立たしいけれど
絶好調な吉良光太郎に、絶不調と噂のキョウちゃん
ムカつくのは仕事がらみなのか
家族としてなのか
友達としてなのか…
どうしてなのかは、まったくもってわからない。
だけど……
今はキョウちゃんの傍にいたいと思った。
あの雨の日のことも、プールに突き落とされたことも許す気になんてなれない。
キョウちゃんなんてだいきらい!
その気持ちに嘘はない。
関わり合いになりたくない人No. 1。
なのにキョウちゃんの傍にいたい、と思う私はやっぱり頭がおかしいのかなあ。
理由なんて
動機なんて何もない
確かなものなんて何もない
だけど……
ただ今は、彼の傍にいたいと
強く強く思ってしまった。