雨が見ていた~Painful love~


その記録に絶句していたのは私だけじゃない。


その場にいた全ての人間が言葉を無くして、凍りついていた。


近くにいた後輩も
OBらしき先輩も
郷田先生までもがキョウちゃんにかける言葉を見つけられずに、バツが悪そうに、ただひたすらに黙って下をむいている。




腫れ物を扱うかのように。みんながキョウちゃんにかける言葉を見つけられずに戸惑っていると



「郷田先生。」


「……なんだ、藤堂。」


「ちょっと頭冷やしてきていいッスか?」





そう言ってキョウちゃんはザブリとプールから上がってくる。




陸に上がってキャップとゴーグルを取って、耳に入った水を抜き取ると



「ちょっと……冷静になる時間を下さい。」



郷田先生に一礼して、キョウちゃんは私のいる入り口とは反対側にあるロッカールームへ向かってツカツカと歩きだしてしまった。


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