雨が見ていた~Painful love~
「俺はオマエを地獄に送りたいワケじゃねぇ!人を悪魔の申し子みたいに言うな!!」
拗ねたようにそう呟く彼に向かって
「その割には結構ヒドイコトするよね?
プールの中に放り込んだり、雨の中に放りだしたり、クソオンナ呼ばわりしたり…。」
「…うっ…!!」
「悪魔って呼ばれてもおかしくないくらい、散々ヒドイことしてきてますけど??」
ここぞ!とばかりに今までのうっぷんをぶつけると、彼は火がついたようにカッと顔を真っ赤にさせて
「アレは…全部お前が悪い…!!」
そう言って
キョウちゃんはプイッっとそっぽを向いてしまった。
――なっ…!!!
でた!
このワケのわからない持論!!
雨の中に置き去りにした時も『オマエが悪い』
プールに放りこまれた時も『オマエが悪い』
それに…レイプされた日にもキョウちゃんはこう言った。
『俺をこんな風にしたオマエが悪い』
ほんとに…
コトあるごとにキョウちゃんは私に言うんだ。
『オマエが悪い』
いつもなら。
強気なキョウちゃんにねじ伏せられて、すべての言葉を失うところだけど…今日のキョウちゃんの前でなら、聞ける気がした。
ずっと感じていた
ずっとくすぶり続けてきた、この疑問
「ねぇ、キョウちゃん。」
「あぁん??」
「なんで…キョウちゃんは『オマエが悪い』っていうの??」
質問はいたってシンプル
だけど……ずっと私はその答えを探していた。