雨が見ていた~Painful love~
その質問をした瞬間
「……。」
「……。」
また沈黙が私たちを覆いこむ。
遠くに聞こえる水音に
コーチや監督の怒鳴り声
それらを聞きながら
ありえないぐらいに荒れたロッカールームで私は尋ねる。
「キョウちゃんはいつも言うよね?『オマエが悪い』って。」
「……。」
「だけど…ね?
私、どんなに考えてもわからないの。
きっと、キョウちゃんをそこまで怒らせるような“何か”を私はしちゃってるから…キョウちゃんを限界まで怒らせちゃうんでしょう??
でもその“何か”がわからない。」
私の問いかけを
ずっとキョウちゃんは下を向いたまま、無言で聞き続けてくれていた。
いつもなら
『だぁっ!クソ美、バカ美、アホ美め!!』
とか悪態つきながら言い返してくるのに…今日のキョウちゃんは、静かだ。
その沈黙が落ち着かなくて
居心地が悪すぎて、バカな私は頼まれてもないのに
「私の何が悪いの?キョウちゃん。
怒ってるんじゃないの。責めてるワケでもないの。ただ……知りたいんだ。私の何がいけなくて、キョウちゃんを怒らせるのか。」
どんどん意味もなく言葉を紡いでしまう私。