雨が見ていた~Painful love~
「いつもなら…思いっきり拒絶して、ムカつくこと言いまくって、挙句の果てに俺がブチ切れて大ゲンカが始まるところだろ??」
そう言って
キョウちゃんはゆっくりと腰を上げると、近くにあった黒いTシャツをササッと羽織る。
水に濡れた髪をうざったそうにかき上げながら
「 ……ま、そりゃそーだよな。
俺はオマエにとっちゃあ、大事な大事なSKプロダクションの“商品”だもんな。
キスぐらい……お情けでやってやっても平気ってコトか。」
そんなひどい言葉を口にする。
――え……??
キョウちゃんの口から飛び出した、その言葉が信じられなくて
「ち、ちがうよ!!
私……そんなつもりじゃ……」
戸惑いながら否定をすると
「じゃあ……どういうつもりなんだよ。」
「……え??」
「同情じゃねえ。
お仕事優先でもねぇ。
じゃあ、どういうつもりで俺のキスを受け入れたんだよ。」
キョウちゃんは
私の目の前まで歩いてくると、その場でちょこんと腰を落とす。
――え、え、ええ?!
いわゆるウンコ座りと呼ばれる、あの座り方をして私の目をじぃっと見つめると
「はっきり答えろ。
オマエ……俺のこと好きなのか??」
「は、はぁっ?!」
キョウちゃんは、こんな頭の痒いことを言い始めてしまった。