雨が見ていた~Painful love~
甘い甘い
幼なじみ同士には似つかわしくない
この雰囲気の中で放たれた、キョウちゃんのおバカ発言。
遠くに聞こえる水音を聞きながら
「……。」
「……。」
「……。」
お互いキョトンとしたまま見つめ合っていると
「オイ。」
「…え?」
「この場面でなんで黙んだよ。
…ウンとかスンとかなんか言え。」
――ひ、ひぃぃぃ!!
さっきまでの弱ったキョウちゃんはどこへやら。
目の前にいるキョウちゃんは、いつものごとく鬼のような形相をして、私をギリリと睨みつける。
――な、なんで!?
なんで私が怒られなきゃいけないの!!?
なんだか腑に落ちないモヤモヤ感を抱えながら
「嫌いか好きかで聞かれたら…スキの部類に入る…のかなぁ。」
そう答えると
「……ま、マジで…!!」
何故か悪魔は目じりを緩めながら
恍惚感に溢れた表情で私の両手を握りしめる。
だけど、それとは対照的に
普段通り、いつもの表情で彼を見上げる私を見て『んん!?』と怪訝そうに眉をゆがめると
「ちょ、ちょっと待て…!!
それは…どういう意味のスキなんだ…??」
ドゥオーーンという音と共に現れた、まっ黒いオーラを背中にまといながら、キョウちゃんは私をジリジリと問い詰める。