雨が見ていた~Painful love~



――な、なんでそんなに顔がひきつってるの!!?


――なんでそんなに怒ってるの!!?




わかんない!
わかんないよ、キョウちゃんっ!!




一人で百面相してる
キョウちゃんの真意がわからずに



「え?え!?
言葉のそのままの意味だよ!?
好きか嫌いかで聞かれたら、かろうじて、かろうじて“スキ”の部類に入るかな…って…。」




オロオロしながらそう答えると…




「…!!
……………。
オマエに期待した俺がバカだった。」




黒い黒いオーラを体中にまとわせたまんま
キョウちゃんは急に無表情を装って、スッとその場に立ち上がってしまった。





しゃがみ込んでる私に
立ち上がったキョウちゃん



さっきまで真隣りにいて
触れる肌から、語らなくても空気感で彼が何を感じて、何を思っているのかがテレパシーのように伝わってきていたのに…今は何もわからない。




私に背を向けて
表情一つわからない


今のキョウちゃんは、何を考えているのかわからない、いつもの怖いキョウちゃんだ。





黒いオーラに
冷たい雰囲気


私の全てを否定するような、その背中





仲良しの幼なじみのキョウちゃんではなく
再会した後の怖いキョウちゃんの背中に、ゾクリとした何かを感じながら身を縮こませていると


「ホントお前って悪魔だよな。」


「…え??」


「お前は俺を翻弄させるために生まれた、性悪悪魔だとしか思えねぇ。」



ハァ~とため息を吐きながら
何故かひどく落胆した声を出して、キョウちゃんはこんなわけのわからないことを言う。


< 290 / 545 >

この作品をシェア

pagetop