雨が見ていた~Painful love~
――ヤバイ…
この瞳はキョウちゃんがキレてる証
この暗くて重苦しいオーラを纏ったキョウちゃんを見たが最後、私はいつも地獄に叩き落される。
キョウちゃんは一言も発することもなく
私の手首をギュっと強く握りしめると
「……。
嫌いだ、オマエなんて。
オマエなんて、大っ嫌いだ。」
冷たく重苦しい声をして
私の瞳をギロリと睨みながら、キョウちゃんは小さくつぶやく。
そんな怒れるキョウちゃんを見て
――また…やっちゃった。
私はまた自責の念に駆られていた。
よくわかんないけど、キョウちゃんの地雷を踏んだんだ、私。
拓真くんとならこんなわけのわからない地雷なんてないに等しいのに、私はいつもキョウちゃんをひどく怒らせてしまう。
キョウちゃんのこの猟奇的な瞳に怯えながら、でもどこか感覚のマヒしてる私が『今回は軽いおしおきだといいなぁ…』とか呑気なことを考えていると
キョウちゃんは私を強引に立ち上がらせて
「覚悟しろよ、このクソオンナ!!
俺の正義の鉄槌を味わうがよい!!」
私の両頬を突然ギュっと掴み始める。
そして突然フゥと思いっきり息を吸い込むと
「たーてたーて、よーこよーこ、まーるかいて~~~~~~~!!チョンッ!!」
「いいっ、いっっったあ~~~~~~っ!!!!」
突然、超強力なジャンケンブルドックを私にお見舞いしてきたのだ。
あまりに痛すぎて『うぎゃぁぁ!』と叫び声をあげて、その場にしゃがみこんで両頬を両手で冷やすと
「…正義は…勝つ!!
思い知ったか、この悪魔め!!」
フンッと鼻を鳴らしながら、キョウちゃんは満足そうにニンマリとほほ笑む。