雨が見ていた~Painful love~
――頑張れ、キョウちゃん!
私は彼の背中に精一杯のエールを送った。
大好きな幼なじみだった頃もあった
だけどあんな事件を起こして、会うたび会うたび傷つけられて、許せない!と思ったことも嘘じゃない。
だけど今は……
キミのコト、ちょっぴり戦友みたいに思ってるよ?
キョウちゃんはいつだってわがままで、俺様で、自己中だった。
いつも強い自分しか見せてくれなくて、自分の弱みは鋼鉄の鎧に隠すように絶対に絶対に見せてくれない人だったのに……、今日は違った。
弱い自分を初めて私に見せてくれた。
変なんだけどね?
弱虫のキョウちゃんを見て
あぁ、キョウちゃんも私とおんなじなんだな~って思ったの。
悩んだり
苦しんだり
戸惑ったり
落ち込んだり…
そんなこととは無縁の人だと思ってたのに…違ったんだね。
私と同じように、悩んだり苦しんだり、上手くいかないときだってある、普通の人間なんだ、と思ったら……なんだか親近感が湧いちゃったの。
お人よしって言うかもしれない。
バカって言われるかもしれないけど、昨日までのキョウちゃんとは少し違う、人間らしいキョウちゃんが、とってもかわいく思えた。
やっぱりどんなことがあっても、彼は私の大事な幼なじみなんだ。
どんなにイヤなことをされても
どんなにイヤなこと言われても
最後の最後で譲歩してしまうのは私の甘さなのかもしれないけれど、許してしまう理由は…きっとキョウちゃんがキョウちゃんだからだ。
たぶん他の人なら…こうはならない。
彼だから…キョウちゃんだから、どんなことをされても私は最後の最後で許してしまう。