雨が見ていた~Painful love~


――や、やっぱり~!!


熊のようなごつい男達に睨まれて
ビクビクしながら


「あ、ありません…。
でも、藤堂選手に会いたくて…。」


と答えると


「…PASSのない方はどなたであろうと、この先に進めるわけにはいきません。お引き取り下さい。」


丁寧だけれど鋭い眼光をたたえたまんま、警備員は私のコトを思い切り睨みつける。


いつもの私ならここで尻尾を巻いて逃げる所だけど、今日ばかりはそうはいかない。




「お願いです!ここを通してください!!
藤堂選手に会いたいんです!!」




キョウちゃんを守らなきゃ!!


頭にあるのはその想いだけ。
この頭の固い警備員さんを説得して、何とか中に入らなきゃ!!



そう決意を固め



「通してください!」


「できません。」


「お願いです…!!」


「どんな理由があろうとも許すわけにはいきません!!」




警備員さんと攻防を続けていた、その時


「…桐谷さん!?」

「ご、郷田先生~~っ!!」


警備員さんの向こうから、郷田先生の姿が見えた。



「郷田先生!お願いです!!
キョウちゃんに…藤堂選手に会わせてください!!!」



90度近く頭を深々と下げて、必死にお願いをすると郷田先生はコクンと頷き


「彼女は関係者です。
PASSはありませんが、中に入れてあげてください。
全責任は…私が持ちます。」


静かに警備員の肩をたたいた。


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