雨が見ていた~Painful love~
・never give up~諦めきれないキモチ~
パパがグイグイとキョウちゃんの腕を引っ張る。
私は目の前に巻き起こる不測の事態にオロオロしながらも、男達2人の後ろを必死についていく。
廊下を突っ切り、裏口の扉を開けると
「…!!藤堂選手!!」
「先ほどの試合、あれはどういうことですか!!?」
「今後一切の国際試合の権利を放棄したと捉えてよろしいんですか!!?」
「吉良選手との確執が囁かれていますが、そちらは事実ですか!!?」
10名ほどのマスコミがこぞって詰めかけ、これでもかというくらいにカメラのフラッシュを私たちに浴びせかける。
――い、いつのまに…!?
ハエのようにウジャウジャとたかり始めるマスコミの皆様に呆気に取られていると、パパはキョウちゃんを自分の背中の後ろに隠して
「今日の試合について、そして今後の事については日を改めて記者会見を開かせていただきます。藤堂響弥に対する個人的かつ私的なご質問はSKプロダクションを通して行って頂きたい。」
キッパリとハッキリと男気溢れる口調で、パパはマスコミからキョウちゃんを擁護する。
「藤堂も私も逃げも隠れも致しません。
日を改めて今日の真相をお話いたします。」
そう一礼をすると、パパは自分を盾にしてキョウちゃんを守りながら、人ごみをかき分けて駐車場目指しまっすぐに進んでいく。