雨が見ていた~Painful love~
パパの言動は威厳もあって威圧も十分。
だけど…「ハイそうですか。」と引き下がってくれるほどマスコミは甘くない。
「あの行動はスポーツマンシップに反する行動ですよね!!?」
「会場内に起こったブーイングをどう捉えてらっしゃいますか!?」
「反省はなさっているんですか!!?」
パパの言葉なんて何の効力もなく、マスコミは人の心にズカズカと土足で入り込んできて、聞いて欲しくもない、触れて欲しくもないコトを何の悪びれもなく聞いてくる。
激しく焚かれるフラッシュに
向けられる無数のボイスレコーダー
それらを必死にかき分けながら、私たちはパパの愛車・白いBMW目指して歩いていく。
私はただ必死についていくだけだったけれど、キョウちゃんは俯くことはなく、ただひたすらにまっすぐ前を見て歩いていた。
後悔なんて何もない
後ろめたいことなんて何もない、そんな堂々とした出で立ちが不満なのか
「どうして試合を放棄したんですか!?」
「あのような行動、恥ずかしいとは思わないんですか!!?」
「後悔はしていないんですか!!?」
マスコミは遠慮せずにどんどんどんどん切り込んでくる。
立場が違えばただのイジメと受け取れるような言葉の暴力の応酬。ノーコメントを決め込むキョウちゃんに、抉(エグ)るマスコミ。
普通の人なら耐えきれない言葉の応酬に必死に耐えながら、目的の車に到着し助手席の扉を開けると
「俺は後悔はしていません。
あの行動を恥ずかしいとは思わない。」
――バカ…!!!
キョウちゃんはマスコミを振り返り
こんな空気を読まない発言をし始めた。