雨が見ていた~Painful love~


私の想い

キョウちゃんの想い




いろんな想いを乗せて、パパの車は走っていく。





街をすり抜け
人ごみをすり抜けると
中目黒の閑静な住宅街に一軒の白い家が現れる。



少し南欧風のおしゃれな一軒家
これが、私とパパの住む桐谷邸だ。



最初から最後まで
誰も何も発することなく終えたドライブ



玄関前に車を停めると



「後のことは追って連絡する。
とりあえずただ静かに!何もせず!!ウチに隠れてろ。
いいな?響弥!!」


思いっきりドスの利(キ)いた声で、パパはキョウちゃんをギロリと睨む。





その視線をウザったそうに受け流すと


「へいへい。
桐谷慎様のお言いつけ通りにいたしますよ。」



近くに置いていたスポーツバックを肩にかけ、キョウちゃんはめんどくさそうに車外に出る。





それを追うように私も車の扉を開けて、彼の後を追うと


「美織。」


パパに突然呼び止められる。




それに驚いて振り返ると


「アイツの見張り、頼むな。」


「…あぁ、うん。」


あいまいに小さく返事をすると、パパはハァとため息を吐いて



「流されるなよ。」



真剣な瞳をして、パパはこんな一言を口にする。




こんなに真剣で必死な表情は初めてで、びっくりしながらパパの表情をうかがっていると



「自分で自分をごまかすな。イイコの仮面を打ち破れ。
大事なもの、本当の答えは…いつだって一つしかない。」



パパはこんなわけのわからない一言を口にする。


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