雨が見ていた~Painful love~


キョウちゃんを二階にある、仁くんのお部屋に案内する。



仁くんは私のお兄ちゃん。
今、仁くんは外でマンションを借りて一人暮らしをしてるから、ここは正しくは“元・仁くんのお部屋”




六法全書に何だか難しそうな本が並ぶ本棚には、メンズノンノンやら北欧インテリアの本やらモネの画集やら仁くんの写真集やらが雑多に並んでいる。



クローゼットの中は、ヨレヨレのネルシャツにケミカルウォッシュのジーンズというダサイ、ダサイ服がある一方で…。その隣にはオシャレななスーツや1本10万近くするジーンズやデザインの凝ったカワイイTシャツ、それに高級そうなコートや靴が並んでいる。




インテリアも同様。
すごく素敵なNYスタイルのスッキリしたお部屋なのに…オタク感丸出しのリュックに黒縁メガネまでもがドーンとデーンと飾られている。



オシャレなんだかダサイんだかよくわからない仁くんの部屋にキョウちゃんを案内して


「ごめんね、ココ好きに使っていいから。」


そう言うと


「なんつーか……。相変わらず掴みどころのねぇ部屋だな……。」


呆れたようにキョウちゃんがつぶやく。




その言葉に私は『確かに』と深く深く同意する。




仁くんは妹の私が見ても、ドキッとするほどのイケメンで多趣味で自由な人だけど……彼はちょっと変わり者。


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