雨が見ていた~Painful love~
イケメンなのにダサメンのフリをしてみたり
オシャレなのにダサイ服を着てみたり
芸能人として十分やっていけるのに『興味ない』の一言で断固拒否して、弁護士と兼業と言う荒業に手を出してみたり……。
常人にはよくわからない思考回路の中で生きてる人だから、カノジョはさぞかし大変だと思う。
そんなこんなで変わり者の兄なのでキョウちゃんをこの部屋に案内するのは気が引けるけど……パパの言いつけだからしょうがない。
「ご、ごめんね。
不都合があるなら何でも言っていいから…。」
遠慮がちにそう言うと
「…おう。」
キョウちゃんはそれだけを呟いてベッドにゴロンと横になった。
「俺…疲れたから寝るわ。
なんかあったら起こして。」
そう言って、壁のほうを向き私に完全に背を向けたキョウちゃん。
――そう…だよね。
あんなことがあった後だもん。
疲れてて…当然だよね。
「…わかった。
私、下のリビングにいるから何かあったらいつでも来てね。」
それだけを伝えると
私は部屋の扉をそうっと閉めて、その場を後にした。