雨が見ていた~Painful love~
キョウちゃんの試合放棄事件から約一週間。事態は全く好転せず、キョウちゃんは相変わらずのだんまりを続けている。
私も私で……
吉良光太郎が言った
『藤堂がああなったのは…ね?
全部全部、おねーさんのせいだよ??』
その言葉の意味をキョウちゃんには確かめられずにいる。
タイミングがなかった…といえばウソになる。
キョウちゃんは我が家に滞在しているワケで、聞こうと思えばいつでも聞けた。
だけど…確かめるのが怖かった。
もしキョウちゃんが“そうだ”って言ったら??自分が負けた理由はあの雨の日のことが原因だったんだって言われたら??
もしそうだったらと思えば思うほど、怖くて怖くて堪らなかった。
自分が弱くて臆病なことも、卑怯なことも全部全部わかってる。
だけど、どこまでも優柔不断で八方美人な私は怖かった。自分が悪者になるのが本当に怖かったんだ。
自分で責任が取れないくらい。あまりに大きくなってしまったこの事件の原因が自分だなんて……考えるだけでも恐ろしかった。
そんなある日……
『ハァイ、美織☆
元気してる??久しぶりにお茶しようよ。』
親友の綾音からメールが入った。