雨が見ていた~Painful love~


驚いて携帯を手に取ると、そこに現れた名前は“藤堂理子”
キョウちゃんのお姉さんだった。



「あ、もしもし…。」


オドオドしながら電話に出ると


「あ、美織~??
今どこにいんの!?」


電話の向こうからはチャキチャキした気の強い女の子の声が響いてくる。




優柔不断の私とは違って、竹を真っ二つに割ったようにハッキリした性格の理子ちゃん。


キョウちゃんの2歳上
私とは同い年の理子ちゃん。



私と彼女の関係は“幼なじみ”という名の主従関係。



「あ、今おうち出たところだよ?
友達と代官山のカフェでお茶しようってコトになって……。」



遠慮がちにそう答えると



「あっ、そう。
じゃぁ、あたしもそこに行く!!」


「え!?えぇっ!!?」



理子ちゃんはこんな恐ろしいことを言い始める。





「え、だって今から会うお友達は理子ちゃんの知らない子だし……!」



ワタワタしながら丁重にお断りしようとすると



「…それがなんなのよ。」


「え、えぇ!?」



ドスの利いた声で理子ちゃんは私を脅しにかかる。





「あたしはねー。あのバカ男の着替えやら日用品やらをアンタに預けたいのよ。だから行く。」


「じゃ、じゃぁ私が帰りに理子ちゃんちに寄るから…っ!!」


「やーよ。
私はアンタに今すぐ会いたいの!!
言いたいことも山ほどあるし…バカ弟のお世話のお礼も言いたいからね。」





ああいえばこういう


ワガママ男の姉はやはりワガママ




言いだしたら聞かないところは、本当に2人は似ていると草食系の私は思う。

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