雨が見ていた~Painful love~


どうしよう、と悩む私に
行くわよ!と言い切る理子ちゃん。


無言の攻防を続けながら玄関の前で佇んでいると



「とにかく、行くから。
どこのカフェに行けばいいわけ??」




最強肉食女子・藤堂理子はこう言い切る。






――はぁ…こりゃダメだ。






理子ちゃんもキョウちゃんも、兄妹揃って“こう”と言ったら絶対に引かない。頑固さでいうならキョウちゃんよりも理子ちゃんの方が数倍上なのだ。
(もっと言えば、あのキョウちゃんも理子ちゃんには頭が上がらない。)



理子ちゃんの性格を知り尽くしている私は、覚悟を決めて


「…代官山の“Green Label”ってお店。」


綾音と行くつもりのお店を素直に理子ちゃんに伝えた。




すると



「ふーん。最近できた和スイーツのカフェね。
わかった。じゃぁ、またあとでね。」




理子ちゃんはその言葉を聞くと満足そうに頷いて、ピッと素早く電話を切った。






はぁ…。
綾音にも言っとかなきゃな…。




ワガママな幼なじみは1人じゃなく、二人。
私は憂鬱な気持ちになりながら、テクテクと駅に向かって歩き始めた。


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