雨が見ていた~Painful love~


「は、はだか!!?」


過敏に反応して自分の体を恥らいながらギュッと強く抱きしめると



「アホか!
そっちの裸じゃないわよ!!」


「い、いたーーーーーっ!!」




DNAと地球の営みの申し子、藤堂理子ちゃんが私の頭をパシーンと思いっきりしばく。




「カラダの裸じゃなく、心を裸にしろって綾音サンは言ってんのよ!!」



「心をはだかに??」



「そう。変な価値観も、倫理観も、常識も全部全部脱ぎ捨てて、新しい真っ白な自分になって響弥と向き合ってみろっつってんの!!」




――新しい、真っ白な自分……




幼なじみのキョウちゃんという概念も

会社上の付き合いという関係も

加害者と被害者という関係も


全部全部忘れて、キョウちゃんと向き合う…




そしてその中で見つけた答えに素直に従いなさい。

その答えの中から見つけた新しい関係をキョウちゃんと2人で築いていきなさい。




綾音が言っているのは、そういうこと…??





綾音の考え
そして理子ちゃんの発したその言葉になんだか心が震えてしまってポーッとしながら、その言葉の余韻に浸っていると




「あーーーっ、もう!
敵に塩を送るつもりはなかったんだけどな。」




頭をガシガシ掻きながら
なんだか悔しそうに綾音がつぶやく。



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