雨が見ていた~Painful love~


その笑顔を見て、また心臓の奥がキュウウと痛む。



そうだよね。
綾音はまだキョウちゃんが好きなんだもん。


好きなのに私の背中を押してくれてるんだもん。


苦しくないはずなんてないよね?
哀しくないはずなんてないよね??



逃げてちゃだめだ。
私はこの優しい親友の涙に応えるためにも、キョウちゃんと向き合わなきゃいけない。





彼は失いたくない、幼なじみ
ずっとそばにいたい、ずっと傍に置きたい、幼なじみ



恋人がいても
家族がいても
友達がいても
キョウちゃんだけは特別で、ずっと私を見守っていて欲しいと思っていた、大切な幼なじみ



好きだと聞かれれば好きの部類に入ると思う。



だけど男として好きなのかと聞かれると、正直迷う。




綾音はそれを恋だと呼び
理子ちゃんは、強い束縛感情だという




だけど、そんな可能性に気づいたのは今さっきのこと。




26年間、私の中でキョウちゃんは幼なじみだったんだもん。

オトコとかオンナとか性別は関係なく、家族でもなく、友達でもない、彼は特別な幼なじみ。





上手く言葉にはできないこの感情が“恋”だと言われても“束縛だ”と言われても、26年しみついたこの考えはそう簡単に変えられない。




わからない。
いくら考えたところで、キョウちゃんへの気持ちは恋なのか何なのかがよくわからない。




でも……
考えてわからないなら、会って感じるしかない。




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