雨が見ていた~Painful love~
「仁のビン底伊達メガネに、よれよれネルシャツにケミカルウォッシュのジーンズ。それにアキバのオタクもびっくりのリュックサックに汚い帽子かぶって出ていったんだもん。
バレない、バレない、大丈夫。
アレはどこから見てもキモオタ君よ~。」
アハハと笑いながらネギをザクザク切り始めるママ。
じ、仁くんの変装セット……
仁くんの趣味は変装
こだわったらトコトン!!の仁くんは最高にキモチワルイ、オタクファッションに凝っていた時期があって。
『街を自由に歩きたいから!!』
って言う理由で毎週毎週ソレを身に着け、彼女とデートを繰り返していたという黒歴史があるのだ。(しかも誰にも気づかれなかったカンペキなる変装だったらしい。)
凝る仁くんも仁くんだけど
許す彼女も彼女だと、私は心底呆れていたんだけど…
今になってそれが役立つとは……!!
伝統ある、仁くんの変装セット
――う~~、それなら大丈夫…かなぁ…??
なんて、変に安心していると
♪Trrrr,Trrrr♪
バックの中の携帯が鳴る。
肩にかけていたキョウちゃんのお泊りセットをドカリと置いて、携帯を取り出し
「はい。」
と、電話に出ると
「あ、美織か??」
「あぁ、パパ。
どうしたの??」
発信者はパパ。
自宅に戻ってるし
今日はオフだし
プライベートモードで話していると
「明日、響弥の謝罪会見を開くことになったんだ。」
パパは突然
こんな爆弾を私に投げつけた。