雨が見ていた~Painful love~


――はぁ~、せっかく決意したのにな……


さっきまでの勢いはどこへやら。
あんなに自分を奮い立たせて、ドキドキしながら玄関の扉を開けたのに、想いをぶつける本人は不在。



しかもタイミングよく
会社からはありがた~~い、お呼び出し。




――ホント…間が悪いな…。




私とキョウちゃんは、本当にタイミングが合ってない。



理子ちゃんは“恋はタイミング”だと叫んでいたけど…、こんなにもすれ違うと、やっぱり私とキョウちゃんには赤い糸なんてないんじゃないかな、と思ってしまう。





大きなため息をついて


「ゴメン、ママ。
パパに呼び出されたから、ちょっと会社に行ってくる。」


夕飯の準備をしているママに声をかけると


「了解。頑張ってきてね。
悪魔で変態な社長サマにもよろしく伝えてね♪」


ママは相変わらずマイペースに、パパへの皮肉を口にする。




うう~~ん。
パパはいつも優しいし、ジェントルマンだし。
悪魔でも、変態でもないんだけどなぁ……。




ママの言葉に首を捻りながら


「ま、とにかく行ってくるね。」

「はーい、行ってらっしゃい。」


私はバックを手に取り、リビングを後にした。



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