雨が見ていた~Painful love~


玄関を開けるとさっきまでオレンジ色だった空が、薄い藍色に染まり始めている。

冬の夜はやってくるのが、異様に速い。

太陽の光が陰りを見せると一気に気温が冷えてきて、頬を撫でる風が凍える程冷たく感じる。




「ひゃー、寒い!!」




かじかむ指を奮い立たせて自転車にまたがると、私はまた中目黒駅を目指す。






駅の駐輪場について、やってきた電車に飛び乗って、会社に着くと時計はもう17:20を指していた。





「ごめんなさい、遅くなりました。」


「あー、うん。
でも、文章はあらかた決まったからチェックしたら各社に送ってくれるか??」


「はい。了解しました。」





事務所の扉を開けると、中にいたのはパパ一人だけ。
喜多川くんもいるのかなぁ、と思っていたけれど吉良光太郎担当の彼には呼び出しがかからなかったらしい。


いつもよりも薄暗い照明に照らされた事務所の中で、パパに渡された書類に目を通し誤字脱字、失礼な文体はないかチェックする。



――うん。変なところは…ないよね。



最後まで目を通して

「大丈夫だと思います。
ではコレで各社にお送りしますね。」

そう声をかけると

「うん、頼む。」

パパは少し疲れた顔をして、私ににっこり微笑みかけた。


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