雨が見ていた~Painful love~
間違いじゃなければコレは日本選手権のロッカールームで、キョウちゃんがスポーツバックに突っ込んだ茶封筒じゃないかな。
あの日はパパと私とキョウちゃんの3人で、マスコミから逃げるように競技場を後にした。
水着にタオル
キャップにゴーグル
さまざまな道具をスポーツバックに詰め始めてたけど…、その場所には不似合いなその茶封筒を少し不思議に思っていたのを思いだす。
「コレ……。」
その可能性を確認するようにパパを見上げると
「うん、ご名答。
コレは響弥のスポーツバックの中から、勝手に拝借してきた茶封筒です。」
パパは問題の茶封筒を手に持ちながら、ニッコリとこんな恐ろしい一言を呟く。
――え、えぇ!!?
なんて言った!?
なんて言った!!?
パパが発した一言に完全に挙動不審になりながら、ワタワタしていると
「中に入っていたものを見て、確信したよ。
響弥がなんであんなことをしたのか、誰が裏で手を引いてたのか。それに……響弥がオマエに何をしたのか…もね。」
タバコを口に含みながら
パパは静かにそう呟いて、封筒を元あった鞄の中に静かに沈める。