雨が見ていた~Painful love~
あの日のコトを話題に出されて
瞬き一つできずに彼をじっと見つめていると
「あの日と同じSEXをしたって無意味だろーが。」
「…え??」
「俺は自分だけが気持ちいいのはゴメンなんだよ。それがどんだけ空しいモンかってのを身を持って実感してるからな。」
そう言って
彼は私の髪にゆっくりと指を絡める。
月明かりの中で私をじっと見つめて
言葉も何もなく、ただただ見つめた後、
彼は私の髪をいじっていた手を後頭部に伸ばして、グイと自分に引き寄せる。
その瞬間
水に濡れた唇が押し包むように、そして忍び込むように、私の唇を徐々に深く犯していく。
ピチャ
ピチャと
クチュ
クチュと
プールに響く音は二人のカラダから落ちる雫ではなく、二人の甘い蜜の音。
お互いがお互いをむさぼる様に
愛を確かめ合うように、私たちはキスをする。
口の中に忍び込む彼の深いキスには上手く答えられなくて
「…ふっ…ハァ…っ…」
甘い吐息を上げながら反応することしかできなかったけれど
「…上出来。」
私のぎこちないキスを彼は笑って褒めてくれた。