雨が見ていた~Painful love~
――キョウちゃん……
そんなカレが愛しくて
彼の見せる不器用な優しさがうれしくて
「……うん……。
じゃぁ、ちょっとだけ時間をください。」
私は彼の胸の中で
クスクス笑いながらそう返す。
厚くて熱い彼の胸板
私とは違う固くて筋肉質な彼の体にドキドキする。
少しずつ変わっていけるといいな。
今すぐHするなんて無理だけど…
キョウちゃんと一緒に乗り越えていければ、それが一番いいのかもしれない。
いつか来るであろう幸せな朝に期待しながら
そんな未来に気持ちを馳せていると……
「ちなみに俺、我慢できても3か月だかんな。」
「え!?短い!!」
目の前の短気な悪魔は、こんなことを言い始める。
「アホか!!こっちはすでに10年待ってるんだぞ!!?
これ以上俺を待たすなーーーーっ!!!!!」
「そ、そんなぁ~~~っ!!!
せめて3年は待ってよ!!」
「さ、三年!!?
オマエ…俺を殺す気か!!?」
ここまできて
甘い雰囲気とおバカな空気を繰り返している私たち。
私の髪から流れる雫
彼の髪から毀れる雫
雨のように流れ落ちる雫と
私たちを照らし続けていた月だけが
私とキョウちゃんをずっと見ていた。
幼なじみから、恋人へと姿を変える私たちを
雨のような雫がずっと、ずっと見つめていた。
そして私たちはその雫を唇に滴らせながら
幼なじみという二人にサヨナラを告げるキスをした――……