雨が見ていた~Painful love~
いい年した兄妹が手をつなぐなんて、ちょっと気持ち悪いかな??
でも、あの時の私にはそのぬくもりがとても大切なものに思えていたんだ。
言葉より伝わる
触れることで伝わる気持ちって沢山あるよね?
日本人は好まないけど…
外国の人がハグやキスで親愛を確かめ合うのって、そういう意味もあると思う。
繋がれた手から流れる、安心感と、温かさ。
そのぬくもりに包まれていると私はどこかホッとして『大丈夫』そう思えてくる。
そんな風に
少しずつ落ち着いてきた私を見ると
「他人がどう思うか、が大事なんじゃない。
大事なのは自分がどう思うか、だよ。美織。」
仁くんはフフッと笑って
そんなことを言い始める。
自分がどう思うか、が大切??
なぞなぞのような仁くんの言葉が理解できなくて、手をつないだまま首をかしげると
「他人の思考回路は変えられないけど、自分の思考回路は変えられる。幸せは他人が決めることじゃなく自分の心が決めるもの。
人がどうこう言おうと自分がどう思うかが大事。」
そう言って
仁くんはニッコリとほほ笑む。
自分がどう思うか…、か。
なんだか仁くんの言葉は100年生きた仙人が言う言葉のようで、たった24年しか生きてない私には、すぐには理解できない言葉だけれど、言わんとしていることは何となくわかる。
てっとり早く言えば
『幸せの形は人それぞれ』
ってこと…だよね??
他人の目じゃなく、自分の目を大切に
どう思われるか
じゃなく
大切なのは自分がどう思うか
…ってことだよね??
もしキョウちゃんがあの雨の日のコトを打ち明けて、世間の皆様から“桐谷美織は可哀そう”っていうレッテルを張られたとしても、私は自分のコトを『可哀そうだ』なんて、もう思わない。