雨が見ていた~Painful love~



満足そうに微笑むキョウちゃんに
肩透かしを受けた、記者



――言ってもよかったのに…。



私のコトなんて気にせずに
全部ブチまけて、吉良光太郎にお仕置きしちゃえばよかったのに!!




ココロの小さな私はそう思う。



だってそうでしょ??
キョウちゃんだけこんなに苦しんで、吉良光太郎は余裕ホクホクだなんて不公平すぎるよ!!






なんだか腑に落ちなくて、一人でプンプン怒っていると



「これは…吉良は大変だね。」



仁くんは私の手を離して
口元に手を当てて呆れたようにクスクス笑う。






ん??
吉良が大変??
どういうこと??
大変どころか安泰でしょ?


だって最大のライバルは不在
大企業に就職もできて
地位も名誉も安泰じゃない。




仁くんの言葉の意味が分からなくて首を捻ると



「わかんない?美織。
今までの成績を見る限り、響弥のほうがアスリートとして優秀なのは周知の事実だろ??ライバルだ、とは言っても今までの戦績で言えば響弥の一人勝ちなんだから。」



仁くんはこんな言葉を口にする。





「…うん。」


今までの大会
どれを見返しても出てくる名前は


一位 藤堂響弥
二位 吉良光太郎



この文字ばかり。





キョウちゃんの方が強い競泳選手だってことは周知の事実だと思うけど…、なんで今更聞くんだろう。





そんなことを思いながら仁くんに頷くと


「これから吉良は見えない響弥と闘って行くんだ。
生き地獄だよー??そんな毎日。」


仁くんは急に悪魔のように冷たい瞳をして、クスクスと笑いだす。



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