雨が見ていた~Painful love~
その瞬間
パチ…
パチ…
会場から小さな拍手が巻き起こる。
最初は聞こえるか聞こえないかの小さな拍手。だけどそれが集まり、大きくなり、徐々に大きくなる、その拍手。
まるであの日のレースのような東京辰巳国際水泳場で巻き起こった、あの興奮にまみれた歓声のような大きな大きな拍手の音。それはまるであの日がよみがえるような、そんな大きな音の波で、その音が私の胸の中をジリジリと熱くする。
その拍手を聞いてニッコリと満足そうに微笑むと、キョウちゃんは踵を返してゆっくりとこちらに歩いてきた。
拍手の波の中、少しうつむき加減に、少しさみしそうに。でも…少しだけ満足そうな笑顔を残してゆっくりこちらに歩いてくると
「あ~~~、疲れた。」
「わっ、きゃっ!!」
キョウちゃんは突然
私を正面から抱きしめる。
倒れこむように私に抱き着いてくるキョウちゃん。
子どもみたいに、私に甘えてくるキョウちゃんがかわいくて
「お疲れ…さま。」
そう呟いて、彼の頭をヨシヨシと撫でると
「お疲れ様って思うなら、ご褒美にSEXさせろ。」
「え、えぇ!?」
「使い慣れねぇ言葉まで使って必死に頑張ったんだぞ!?頑張っただろ?俺、偉かっただろ!?一発ヤらせろ!」
キョウちゃんはこんな理不尽な要求を突き付け始める。