雨が見ていた~Painful love~
キョウちゃんと一緒にいられる最後の夜
誰もいない、キョウちゃんの自宅
そこに来いってことは……そういうコト…だよね??
未だにトラウマの残ってる私を見て、Hまでは3年待ってくれるって約束はしてたけど、明日からキョウちゃんはアメリカ、私は日本での超遠距離恋愛が待っている。
キョウちゃんが好き
それはどうあっても揺るがない事実
好きだから側にいたい。
好きだから誰より近くにいて欲しい。
誰も触れたことのない私のもっと奥の奥まで近づいてほしい――……
そう思ってはいるけど、なかなか勇気の出なかった私。
――チャンス…かもしれない。
コレを逃すと次はいつになるかわからない。
そう思うと不思議と勇気がわいてきて
「う、うん……。」
「え??」
「行く。」
「…えっ!?」
「今日仕事終わったらキョウちゃんのおうちに行くよ…。」
私は真っ赤になりながら、電話の向こうにいるキョウちゃんに向かってそう呟く。
意を決して
鼻の穴からスイカを出すくらいの勢いで、必死にその決心を伝えると
「…上出来。
今日は絶対寝かさねぇから、覚悟しとけよ??」
キョウちゃんは満足そうにそう呟く。
そして一呼吸置くと
誰より何よりもセクシーな声で
「愛してる、美織。」
そう甘く耳元で囁いて
静かに電話を切ったのだった。