雨が見ていた~Painful love~
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キョウちゃんに腕を引っ張られて
8年ぶりに足を踏み入れたキョウちゃんの部屋は、相変わらずトロフィーと賞状にまみれていて。部屋の配置もインテリアの何もかももあの頃と変わらない。


あの日、あの雨の日にキョウちゃんの額を殴ったあの時計までもが、あの頃と変わらないままベッドの隣に置いてある。



「変わらないね。
キョウちゃんの部屋……。」




部屋を見回しながらポツリと呟くと




「やっぱ……イヤか??」




後ろから私を抱きしめながら、キョウちゃんがポツリと呟く。




「え……??」


その自信のない声に驚いて、視線だけを彼に向けると



「俺はここでお前を傷つけたからな。自分の気持ちを押しつけたいだけで、自分の欲望のままにオマエを抱いた。」



彼は私の肩にちょこんとアゴを置きながら、申し訳なさそうに語りかける。




イヤか、イヤじゃないかで言われたら、やっぱりイヤなのかもしれない。


ここにくればイヤでもあの頃の想い出が甦る。キョウちゃんとこうなる前に散々悩まされたフラッシュバック、それに男性恐怖症に陥った原因はキョウちゃんとこの部屋だもの。







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