雨が見ていた~Painful love~

試すように
そして、確かめるように
私がどこまで許すのか試すような手の動き。


この前の勢いとは少し違う
躊躇を含んだ彼の表情に心が痛くなってきて


「キョウちゃん。」


「……ん?? 」


「大丈夫……だよ?」


私は彼に声をかける。



「怖いけど……頑張るから。」


素直にそう呟くと


「うん……。」


なんだか浮かない顔をして、キョウちゃんは動きを止める。



――どうしたのかな……



不思議に思って首を捻ると


「自分で自分に呆れるわ。」


「……え??」


「見ろよ、美織。この期に及んで……俺、びびってる。」



そう自嘲気味に笑うと、キョウちゃんは私のブラウスの中から手を抜いて、私の目の前に自分の右手を差し出した。


そこにあったのは……
カタカタと
小刻みに震える、大きな手。


魚のように水をかくキョウちゃんの手が震えてる。



――キョウちゃん……



彼を見上げると


「ダセェよな。
俺……一気に自信がなくなってきた。」


彼は弱々しく微笑みながら、そんな“らしくない”言葉を吐き出す。



自信??
なんで今そんな言葉が出てくるんだろう……。




キョトンとしたまま、彼を見つめていると


「俺さぁ?今日は優しくするって決めてたんだ。」


「……え?」


「絶対にガッつかない。乱暴にしない。優しくオマエのコト抱いてやるって決めてたのに……いざこうなると、抑えが効かねぇ。」



そう言って
キョウちゃんは震える右手を左手でグッと押さえる。




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